徳島新聞「眼瞼と涙道疾患」

2015年10月10日 更新

見え方の質 落ちたら注意

私が勤務する病院で、今年4月の初診患者100人の受診理由を調査すると、視力障害(31%)、充血・痛み(25%)に次いで、流涙(20%)が3番目に多かった。手術後や再来の患者さんの中にも涙の不快感を訴える人は実際に多い。「流涙症」とは、さまざまな要因による涙液量の増加を伴う慢性疾患であり、目の不快感や視機能異常を伴うとされている。眼瞼(まぶた)の異常や涙道の閉塞が原因となっていることも多い。

涙は上まぶたの外側にある涙腺で分泌され、目を潤した後、目頭にある涙点から直怪1ミリほどの涙小管を通り涙嚢、鼻涙管、鼻腔に向かって流れていく。これを「涙道」という。まぶたは涙を涙道の中に送るために重要な役割を担っている。

2015年10月10日徳島新聞より

流涙症の原因となるまぶたの病気には逆まつげ(睫毛内反や眼瞼内反)、兎眼、眼瞼下垂、けいれんなどがある。逆まつげはまつげの刺激で角膜障害を起こし、流涙症となる。睫毛内反は、子どもによく見られ、成長とともに治まることもあるが、 長引く場合は手術を行う。まぶたの筋肉が緩み、内側に巻き込まれてしまう眼瞼内反は、高齢者に多くみられる。これも緩んだ筋肉を引っ張り固定する手術が必要となる。手術時間は20分程度で済む。

そのほか、顔面神経麻痺で起こる兎眼やまぶたのけいれん症でも流涙症を引き起こす。眼瞼けいれんや片側顔面けいれんにはボトックス注射などの対症療法を行う。涙道の閉塞で流涙症となる場合、原因としては、先天性、抗がん剤の副作用、涙が石のようになって涙道が詰まる涙石などがあるが、一番多いのは原因不明で、高齢者に多い。

閉塞した涙道に細菌が入って感染してしまうと涙嚢炎を起こす。膿が涙嚢にたまってしまい、時に強い痛みを伴う。涙道閉塞の治療は、鼻流管ブジー法という針金のようなものを涙道の中に入れて詰まりを取る方法があるが、 主に乳児の先天性涙鼻管閉塞に対して行われる。大人には、涙道内視鏡下涙管チューブ挿入法が2000年以降普及してきている。直怪0.9ミリの内視鏡を涙道に入れ、モニターで観察しながら閉塞部を開放した後、細いチューブを挿入する。 この手術は、局所麻酔で通院治療が可能。初回の治療成績も7割で、発症して日が浅いものほど治療効果が高い。難治の人に対しては、涙嚢鼻腔吻合術という涙嚢と鼻腔を直接つなぐ手術もある。これは、入院の上全身麻酔で行う必要があるが、 治療成績は9割で再発は少ない。

流涙症は視力には影響がなくてもぼやけて見えたり、ものが見にくかったり、見え方の質が落ちる。流涙症が視力の質に影響していることを考えると、たかが涙と思わず、異常があれば眼科を受診することをお勧めする。

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